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  • 中学校で「シエスタ」導入 睡眠の学習への効果を本格検証へ

    現在の学校教育では、朝の8:30頃から12:30頃まで午前中の授業が行われ、昼食をとった後すぐに午後の授業が行われている。これは学校という仕組みが日本にできてから連綿と続いてきた仕組みなので大きく変動することは今までなかった。しかし、2016年6月14日から、兵庫県加古川市の加古川中学校で、昼休みに仮眠をとるという「加古川シエスタ」が始まった。「シエスタ」はスペイン語で【昼寝】を意味する言葉である。短時間の休憩をとることで、午前中の疲れを解消し、午後からの授業や部活への集中力を高めると共に、電気を消灯することで省エネにも貢献しようとする試みである。驚くべきところは、この取り組みは自治体などのレベルでは無く、加古川中学校の生徒会が提案し、可決されて実施されたものなのである。昨年の生徒会長が「シエスタで学力の向上につながった事例や企業で効率が上がった事例もある。加古川市でも取り入れてはどうか」と提言したところ、当時の教育長の後押しもあり学校単位での検討が進み、今年5月の生徒総会で生徒会が提案し、可決されたのである。

    実はこの加古川市でのシエスタ導入よりも2年ほど先んじて、福岡県で同様のシエスタ制度が導入されていたのである。2014年から、希望する生徒に対して給食後に短い昼寝の時間をとれるようにしたのである。導入した町の教育委員会が生徒410名を対象にアンケートをとったところ、生徒たちから「眠気が解消した」や「これでリセットできる」などの声があり、午後に眠気に襲われることがなくなり、授業に集中できるようになったと高い効果が認められた。さらに、午後の授業に対する集中力が高まるだけでなく、午前中の授業や家庭学習での眠気を感じることが減少したという。また、授業に集中できたことで成績の向上も見られた。自主学習に集中できるようになり、体調も良くなったという報告が出ている。さらに、難関校への合格者数が増え、部活動の成績も伸びたという。つまり、ちょっとした昼寝が成績や体力の向上に寄与していることが示されたのである。

    実際に小学生を対象とした調査では、睡眠時間が5時間の児童よりも6時間の児童の方が、国語と算数の成績が良いという調査結果が出ている。これは睡眠時間が7~9時間のときに成績がピークとなり、それよりも睡眠時間が長い児童は、反対に成績が下降していた。全国の小学生から高校生を対象とした調査では、睡眠時間が6時間以内であると回答したのが、小学生で3.2%、中学生で18.4%、高校生で50.1%となっていた。これらのことから、日本の中高生はもっとしっかりと睡眠時間を確保するべきなのである。しかしながら、学習塾や部活の朝練、そしてSNSの充実などからさらに中高生の睡眠時間が削られているのが現状である。これに対して、あらたに加古川市で行われるシエスタ制度は、睡眠不足の解消に期待感を持たれており、福岡県と同様に良好な結果がでれば広まる可能性が高い。

    学校以外でも日本の企業にシエスタ制度を採用している企業が存在する。シエスタ制度を採用してからというもの、業績の向上が見られ、海外との取引も増えたという。長い昼休み中に新しいアイデアが浮かぶこともあるという意見が増え、現在も業績じゃ上々だという。

    これから夏に向けて多くの家庭教師サイトや塾では夏期講習を前面に押し出して受験熱を煽る事だろう。夏休みになると学校生活とは異なる生活リズムになる。普通の学校生活では昼寝はまずできないだろう。しかし、夏休みに入ってから塾などの夏期講習を受ける際には、昼寝の時間を確保できるように講習時間割を組んでみてはいかがだろうか。普段勉強に集中できなかったり、眠気に襲われてしまったりするような子どもには、もしかしたら効果が現れるかもしれない。しかしながら、これは夜の睡眠もある程度はしっかりとれることが前提である。夜更かししがちな生活リズムを子どもが送っているようであれば、まずは普段の生活リズムを整えることが急務である。

    睡眠と学力は密接なかかわりがあることが徐々に分かってきている。これから受験熱が高まっていくなかで、学力の向上と体調管理のためにも、しっかりとした睡眠を子どもが取れるように保護者も気を配ってほしい。