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  • 保健体育の授業を2年間行わなかった中学校の怠慢

    先日、東京都の中学校で「保健体育」の教科を2年間も実施しなかったという事例が明るみに出た。国語、数学、理科、社会、英語の主要5教科に比べ、音楽、技術・家庭科、美術、保健体育の実技4教科は公立高校受験において評定平均しか評価されることが無いため、特に進学校ではないがしろにされがちである。今回の事例では、学校が荒れていた時期に座学の保健体育ではなく、体を動かす体育に時間を割いていたようである。生徒が荒れている学校では座学が困難になるケースも見受けられる。そのため、今回保健体育を実施しなかった学校では実技を優先してしまったとのことであった。教育委員会ではこの問題に対して、早急に事実関係を調査し、原因究明と未履修の生徒への対応を急ぐことを表明した。

    保健体育は中学校で従来から軽視されがちであるという意見もある。高校になると「保健」と「体育」が別科目として設定されているが、中学校ではひとつの科目として設定されている。そのため、実技の体育だけで成績を出すこともできてしまうことから、安易に座学の不実施に踏み切る傾向が過去にもあったようだ。しかし、実際に実施しなかった場合の弊害もあったようだ。実技だけの判定の場合、体力に自信が無い生徒に対して不利になることもあり、推薦で不利になる生徒がいたようであった。

    過去に、学習指導要領で定められている内容の未履修問題が大々的に報道されたことがあった。今より10年前の2006年に、とある県立高校で必修科目である「世界史」を教えていないことが発覚した。その後、全国各地の高校で「日本史」や「世界史」、「地理」などを未履修としていたケースが相次いで発覚した。その当時、文部科学省が調査を行った結果、未履修問題があった高校は全国で636校にものぼり、高校全体の1割以上もの学校が未履修問題を抱えていることが発覚した。その後、必修科目の未履修があった多くの生徒たちは補修を受ける事態となってしまったのである。さらに、中学校に対しても調査が行われ、その結果、国公立の中学校では未履修は無かったものの、私立中学校で「書写」や「技術・家庭科」、「音楽」の授業が行われていないことが発覚した。この必修漏れによって、全国の生徒たちに卒業ができない、もしくは卒業が取り消されるのではないかという不安が広まった。結果としては多くの生徒たちは補修を受け、卒業が取り消されるような事態も防がれた。しかしながら、必修漏れの責任を苦に、茨城県と愛媛県の県立高校の校長が自殺するという事件も発生した。

    2006年の事例では、多くの学校が「補修を受けさせる」という措置で卒業を可能にすると表明したのだが、発覚したのが受験直前の追い込み時期でもあったことから、保護者や生徒からは非常に多くの非難の声が上がった。当時の政権も、生徒に罪は無いとして超法規的措置として卒業をさせることを許可したのだ。結果として、学校側が生徒や保護者を振り回したこととなった。

    今回報道されたものに関しては、未履修による卒業不可などの処分は無いようだが、全ての単元は履修する意味があり、それぞれの履修目標も存在する。学校教育が実社会で実用できてないという意見も一部ではあるが、幅広く知識を持つことは将来の職業選択時にも大きな意味を持つものである。文系・理系と大枠で括られがちであるが、美術や技術、音楽といった実技科目については学校教育から子どもが興味を持ち始め、専門のコースに進む例も少なくは無いのである。反対に、一部授業をないがしろにするような教育現場は健全でない可能性が高い。保健体育では無く、実技体育に時間を割り振った学校の例は特に顕著である。担当教員が生徒たちに座学で教える能力が低かったために、体を動かす実技に頼った結果だと言える。中学校の保健体育では心身の健やかな発達に関する知識として、性に関する知識を教える単元がある。特に中学生からは性への興味が芽生えだす時期でもあるため、性の授業は非常に重要な意義がある。さらに、危険ドラッグの危険性や思春期の精神に関する単元など、中学生の生徒たちの実生活において有用な情報や、知らせるべき情報が盛り込まれているのである。そういった内容をおろそかにすることは、子どもたちの健やかな成長に対して不利益となるのである。

    学校だけでなく家庭教師や塾といった教育に関わる者は、全て子どもの成長を最優先に考えるべきである。特に公立の小中学校は幅広い知識を子どもたちに教育し、「生きるための力」を育むことが目的となっている。学校が少しでも、そういった目的に沿わない教育を行っているようであれば、即座に学校側に抗議をした方が良いだろう。場合によっては市区町村の教育委員会に請願書を出すことも有効である。家庭教師や塾の場合でも、子どもの成長が見られない場合でもなかなか切り替えを行わない保護者が少なからず存在する。お金もそうだが、何よりも子どもの時間がもったいない。有効でない塾・家庭教師に時間を費やしていると思ったら、すぐに切り替えを検討すべきだろう。