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  • 夏休みと子どもたちの自殺について

    18歳以下における「子どもの自殺」について、内閣府は夏休み明けの9月1日が最多であると発表した。若年層の自殺者数は平成19年度の調査開始時の年間866名から徐々に増加傾向にあり、平成23年度にピークを迎え年間で1,026名にも達していた。そこから徐々に減少傾向にあるが、それでも平成26年度には年間で866名もの若年層が自らの命を絶っている。これは先進国の中でも非常に高い水準となってしまっている。

    子どもの自殺というと、大きく報道されるのは「いじめ」の問題である。2011年に滋賀県で発生した大津市中2いじめ自殺事件が記憶に新しい方も多いだろう。この事件では凄惨ないじめを受けた生徒が自殺をし、その後の教育委員会の対応への批判などからも全国的に報道された。後に「いじめ防止対策推進法」の成立に大きな影響を与えた事件である。この事件前後に起きた子どもの自殺においても、「いじめ」が自殺の要因として報道されることが多い。しかしながら、文部科学省が実施した調査によると、学校に関わる自殺の要因として最も高いのは「進路問題」という結果であった。次いで「不登校に関わる問題」、「教員の指導など」と続き、「いじめ」は上位から4番目であった。報道でなされたことのある子どもの自殺に関して、いじめ問題へと拡大しなかったものの多くは「進路問題」に起因している可能性が高いのである。

    学校が夏休みに入り、夏期講習の始まりや各種模試が増えること、そして学校での三者面談など、進路について考える機会が非常に多くなる時期となる。中学生・高校生は精神的にも不安定な時期であるが、そこで進路に対する強い不安などが重なり、保護者や教師、家庭教師や塾講師などからプレッシャーを与えられることで追い詰められてしまう可能性もある。

    子どもの自殺は大人と異なる特徴がある。第一に、衝動的に自殺をすることがある点である。家を出るまでは日常と変わらずに過ごしていたにも関わらず、ある日唐突に自殺をしてしまうのである。第二に、影響を受けやすく連鎖しやすい。子どもの自殺が報道されると、それが連鎖し自殺者数が増える傾向にある。第三に友人を道連れにしてしまう場合があるということ。子どもは死生観が大人ほどハッキリしていない場合があり、死を「苦痛から逃れられる方法」や「ロマンチックなもの」と考えてしまう場合がある。進路に悩むのはみな同じタイミングであるため。同じ悩みを抱えた子ども同士が逃避の手段として自殺を選んでしまうケースがある。いじめが発端となるケースでも、いじめを行っているグループに対する復讐として、同じようにいじめられている子ども同士で自殺に至るケースがある。そうして、第四の特徴が「最後まで自殺のサインを発し続ける」ということである。自殺には「準備期間」と「引鉄となる出来事」がある。衝動的に自死に至るケースがある子どもの自殺であるが、遅くとも数日間前から自死に対するサインを発し、それは当日まで発し続けられるのである。

    自殺のサインとして、「孤独であることを伝える」ということ、「苦しい状況にあることを伝える」ということ、そして「攻撃的になること」である。自殺を考えてしまう子どもの多くは「自分は必要ない存在である」と考えてしまう傾向にある。そうして、現状が苦しいことをSNSなどで発信する子どもも多いようである。突如保護者への反発など攻撃的になる傾向もみられている。こういった兆候が見られた場合には、子ども自身が必要とされ、かけがえのない存在であるということを認識してもらう必要がある。そして、苦しい状況に陥った際に、「死にたい」であるとか「学校をやめたい」といった言動をとることがあれば、しっかりと話を聞いてあげよう。ここで重要なのは、求められていない段階でのアドバイスは要注意である。保護者は聞き役に回り、溜まっている不安や不満を聞いてあげるのが重要だ。その中で子どもから助言を求められたらはじめてアドバイスをしてあげるのが良いだろう。

    先述したように、自殺には兆候がある。保護者の視点から、そういった兆候を見逃さず、しっかりと対応することが重要である。また、夏休みは学校生活と異なった生活リズムになりがちだ。学校の目が届かなくなることもあるので、より一層の子どものケアが必要となる。その際に保護者からの目だけでは行き届かない点もあるだろう。夏期講習を受けさせる保護者も多いことから、家庭教師や塾を利用することがあるかもしれない。そういった学習サービスを利用する際には、教育に関して実績があることも重要だが、担当する家庭教師や塾の責任者の人柄も重視することがあっても良いかもしれない。

    また、自殺の要因としては「家庭内での問題」も多く挙げられる。上位の例として挙げられるのが「保護者との不和」であり、次いで「保護者の離婚」といった要因も挙げられている。子どもは、ふとしたきっかけで最悪の事態に走る事もあるため、心当たりのある家庭ではこの夏休み、注意をされたい。