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  • 妊娠中の果物摂取が子どもの知能に影響の可能性

    このたび学術研究誌に、「妊娠中に果物を摂取することが生まれてくる子どもの知能の向上に影響がある」という論文が発表され衝撃を与えている。

    研究を行ったのはカナダにあるアルバータ大学の研究グループである。同グループはカナダ国内の妊婦と生まれてきた子どもの追跡調査を688件行ったところ、妊婦が摂取した果物の量と、生まれてきた子どもの生後1年時における知能の高さに相関関係が認められたというのである。単純に果物を多く摂取すれば、それだけ知能が高い子どもになるというのが真実であれば、これから子どもを産み育てる人たちには非常に嬉しいことだ。

    研究では1日あたり400g以上の果物を摂取している母親の子どもは、300g未満しか果物を摂取していない層と比べて知能が高く、摂取量が多いほど知能向上の傾向が見られるとレポートされている。果物の摂取量と知能の向上については、摂取量が一日あたり2,400gの摂取まで有意性が見られているそうだ。

    今まで食品と知能の関係で知られているのは青魚に多く含まれているDHA(ドコサ・ヘキサ・エン酸)が有名であるが、それ以外での報告はいまのところなされていない。果実に含まれる特有の成分が知能に影響を与えるのであれば、今後はその成分の特定が急がれるだろう。

    過去にはオメガ3脂肪酸を取り扱った研究があった。DHAも、このオメガ3脂肪酸のひとつである。オメガ3脂肪酸は魚が多く持つことで知られており、妊婦が魚を多く摂食すると、生まれてきた子どもが認知機能テストで高い点数をマークするという結果が出ていた。この実験の興味深い点は、自然の魚を摂取すると知能向上に影響を与えるが、魚油を使用したサプリメントで栄養素を摂取しても、知能への影響が見られなかったことだ。

    健康のためにサプリメントを飲んでいる人は多くいると思うが、栄養素の吸収率を調べたある研究結果によると、肉や魚、野菜など「自然の状態」で摂取した方が、「サプリメント」の形態で摂取した場合と比べて栄養の吸収効率が高いという結果が出ていたのである。サプリメントにするために栄養素を抽出したり合成したりするほかに、加工の過程もあるため、複合的な要因によって栄養の吸収に変化が現れているのかもしれない。

    DHAを配合したサプリメントも多く出回っているが、これらの研究結果をふまえると、サプリメントだけでなく、魚を調理したものを子どもに提供したほうが効果は高いかもしれない。

    今回紹介した実験例では、あくまで果物の摂取量の増加と知能への影響のみの実験結果であり、健康に対する影響が調査されていないので注意が必要である。果物に含まれている果糖は名前の通り糖分であるため、摂取し過ぎると血糖値が上昇し、肥満など出産や健康に悪影響が出てしまう恐れもある。

    果物に含まれている特定の栄養素が影響を与えているのか含め今後研究が進む可能性が高い分野になるだろう。

    個人的な見解としては、果物を定期的に摂取している母親は普段から健康に気を使っている可能性もあることから、バランスの良い食生活が胎児の体や脳への栄養供給に重要なのではないかと考えている。

    摂取している食べ物によって胎児の成長に影響があるということを示した今回の調査結果は興味深い。これから子どもを産み育てる人には自分自身が摂取する栄養の重要性を考えてみる良い契機になるのではないだろうか。それと同時に、今後は子どもが果物を多く摂取した場合の知能の差が現れるのか、研究結果が期待される。