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  • 高校での学び直し ~大阪府のエンパワメントスクール~

    全国的に高校での学び直しが広がっている。東京都では2003年度に都立高校2校を「エンカレッジスクール」として指定し、中学校以前の学習内容の「学び直しの場」として活用を始めた。入試には学力試験を行わず、面接などにより学ぶ意欲がある生徒を積極的に入学させている。授業内容としては少人数授業や2人担任制によるきめ細やかな指導を行い、基礎学力の定着を進めている。東京都の取り組みを見て、千葉県や神奈川県、茨城県でも同様に、学び直しに取り組む学校を設置した。文部科学省も2013年に「高校で義務教育の学習内容の定着を図るよう」各都道府県の教育委員会へ通達しており、【学び直し】は全国的な流れとなっている。そんな中で、大阪府が独自に「学び直しの場」として展開している【エンパワメントスクール】3校の2015年度の状況が、先日報告された。

    エンパワメントスクールとは大阪府が独自に設置している学校であり、小・中学校レベルの基礎学力を定着させることができる「学び直しの場」としての活用が進んでいる。子どもの「やる気」と「能力」を引き出すことを目的としており、国語・数学・英語を毎日30分行うモジュール授業や、正解が1つでない問題に取り組み考える力を育むエンパワメントタイムを設けるなど独自の教育を進めている。さらにタブレットや電子黒板などICTの活用による分かりやすい授業つくりにも注力している。その他にも、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの常駐など、子どもたちの心のケアにも細心の注意を払う対応を見せている。

    そもそもエンパワメントスクールが設置されたのには、大阪府特有の教育課題があった。2004年度の大阪府の高校生の中退率は2.2%と、全国平均よりも約1.5倍も多く、不登校も全国ワースト1位と不名誉な記録を持っていた。不登校や中退の理由の多くに、学業不振がある。この問題を打破するために、学び直しの場として作り上げられたのが「エンパワメントスクール」である。初年度こそ欠席や遅刻の他に、中退者も一定数出ていたが、昨年度の報告によると、現在ある3校それぞれにおいて欠席・遅刻・中退者数が30~70%と大きく減少しているとのことであった。在学生へのアンケート結果からは、エンパワメントタイムという独自の授業方式により、コミュニケーション能力の向上に役立ったという回答も多く、既存の学校とは異なる方式であるが生徒の力を伸ばすことに一定の成果を収めているようである。

    この大阪府での取り組み結果だけでなく、全国的な学び直しの潮流から鑑みるに、エンパワメントスクールに近い形態の学校は今後さらに増えていくことが考えられる。学習意欲があるものの何らかしらの事情により教育をしっかりと受けることができなかった子どもや、授業が分からないまま取り残され、教育に関する意欲を一時的に失ってしまった子どもなど、基礎学力が定着しなかった子どもたちは多くいる。そういった子どもたちが将来活躍できるように成長するためにも、学び直しの場は広まっていくだろう。中学卒業後における、通信制高校以外の新しい選択肢として、多くの子どもや保護者に受け入れられていくかもしれない。

    学び直しの場が必要なのは間違いない。しかしながら、せっかくの時間を学び直すために使うのは正直もったいない。授業内容が分からないままに進んでしまうことが、学習への意欲減退の大きな理由になっている。授業内容がリアルタイムで分からない時こそ、学び直しの重要なタイミングである。子どもとの会話の中で授業内容が分からないということが見受けられれば、そこで叱責することなく、授業が分かるように手伝おう。保護者の手で理解させることが難しいのであれば、家庭教師や塾の力を借りるのも良いだろう。学び直すことに遅すぎるということは決して無い。しかし、早ければ早いほど良いのは言うまでもない。より良い子どもの将来創世のために、早期の基礎学力定着を勧めたい。