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  • 進学や就職にも影響するSNS

    先日、コンビニエンスストアのおでんを素手で触る動画を配信した男が、威力業務妨害の疑い等で逮捕された。FacebookやTwitterなどSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の発達により携帯電話さえ持っていれば誰もが気軽に情報発信を行える時代になった。SNSは気軽に世界中の人と繋がることができるため、趣味の合う仲間や同窓生との再会などに活用することができるが、その反面、簡単に情報発信ができるが故に間違った自己顕示欲の発散の場所にもなってしまっている。

    数年前からTwitterなどにコンビニのアイスケース内に入ったり、食器洗浄機に入ったりする姿を撮影し公開する事件が問題になっている。奇抜な写真は多くの共有により拡散し、不特定多数の人の目に触れる。そのリアクション数の多さや、ごく一部の賛同者の声を受けて自己顕示欲が満たされ、さらに迷惑行為を行ってしまったのが、先日コンビニのおでんを素手で触った男なのではないかと考えられる。

    上述の男のように安易な迷惑行為にはしる者がいるが、ICT(情報通信技術)が発達した今日では、ネット上にアップした内容が消えることなく残ってしまい、それが将来の進学や就職に多大な影響を与える可能性があることを自覚しなければならい。いわゆる「デジタル・タトゥー」と言われるものである。

    人が持つ欲求の中で「自己顕示欲」というものがある。自分をもっと知ってほしい、自分のことをもっと評価してほしいという欲望である。ICTの発達により文章だけでなく写真や動画を気軽に世界中に発信できるようになったことから、この欲望を満たすために奇抜な写真や動画を安易に掲載してしまう者が出てきてしまっているのである。当初は仲間内に発信していたものが、SNSの力で拡散され、全国に発信されてしまうのである。さらにネットユーザーの中には個人を特定することに長けた者もおり、SNS登録情報や友人の情報から個人を特定し、個人情報を晒される危険性もある。

    迷惑行為をしたこと自体は罰せられるべきものであるが、さらに個人情報と迷惑行為を晒されることにより、その情報はネット上に永続的に刻印されてしまうのである。これが「デジタル・タトゥー」と言われる所以である。

    デジタル・タトゥーにより進学や就職に支障を来す可能性もある。日本での人事採用に関する調査結果では、人事担当者の約10%が「応募者のSNS情報をもとに不採用決定をしたことがある」と回答している。米国ではさらに顕著で不採用はもちろん、SNS上で公開している情報や発信している内容を採用決定の材料として使用しているのである。調査結果は無いものの、進学に関してもSNSを利用した合否決定は行われている可能性は非常に高いと考えられる。そういった観点から考えると、採用担当者が応募者の過去の不適切な行為等による炎上歴をネット上で目にしたら、その応募者の採用を見送ることはほぼ間違いないだろう。

    SNSのようにICTを活用したサービスはどんどん社会に浸透している。それに対して学校教育はICTの技術進歩に追いついておらず、大きな課題となっている。総務省もこの課題を問題視しており、「ICTメディアリテラシー教育」に力を入れている。これは子どもに対してだけでなく、保護者や教育者に対しても実施されている。

    個人情報を少しでも公開していたり現実世界の友人がSNS上でも繋がりを持っていたりすれば、ウェブ上での匿名性は格段に低下する。間違った自己顕示欲を満たす行動をとることで、自身の将来に大きな瑕疵を残すことになることを、保護者からもしっかりと伝えなければならい時代となっている。迷惑行為そのものをしないように教育することはもちろん重要だが、SNSを利用して「いいね」を集めるような歪んだ自己顕示欲の発露が身の破滅を招くことも、子どもが理解できるように伝えなければならいだろう。