9月27日に2016年度の「大学入試センター試験」の出願受付がスタートした。今年度のセンター試験は2017年1月14・15日に実施され、センター試験に参加する大学は693校となる見込みで、昨年と同じ数値である。申し込み締め切りは10月7日の消印有効だが、早めに出願するのが良いだろう。
現在の高校3年生や浪人生は既に準備を進めているだろうが、高校1・2年生のみならず中学生でもすでに受験の勝負は始まっている。2020年度に国はセンター試験に代わる新たな共通入試の仕組みを導入する方針が固まっているが、それまでの3年間は現在の入試制度が維持される。そのため、現在の中学3年生までは現行のセンター試験が行われる予定なので、リスニングなどの対策を早めにとる必要がある。
しばらく前にこのサイトで紹介したように、文科省で進められている新しい入試制度については、定期的に開かれている会合の内容が開示されているので、少しずつではあるが情報が取得できる。そのため、現在の中学2年生は特にこの情報収集が重要となるだろう。「かてきょ図鑑」でも定期的に新制度についての情報を発信していく予定だが、自分で情報を集めることも推奨されたい。新しい制度についての情報の一部では、英検やTOEICといった外部試験のスコアを参考にするという情報もあるため、英検の取得などを早期に進めると良いだろう。
基本的には国語・数学・理科・社会・英語の主要5教科をしっかり習熟すればよいのだが、やはりセンター試験については「傾向と対策」が存在し、情報を持っているのといないのではスコアが大きく変わることもあるので、保護者の方は特にそういった情報にアンテナを伸ばすべきだろう。塾の講師を選別することは難しいが、家庭教師であれば個別に時間を取ってもらえるので、そこで大学受験新制度の情報収集をしているのか確認すると良いだろう。個人で常に情報を収集している講師ばかりではないが、しっかりとした母体があれば、本部から各講師へ情報提供がなされるはずなので、受験に対する助言をしてくれるはずである。
大学入試の新制度は現在の中学3年生は非常に注意が必要だ。万が一、浪人を選択せざるをえない状況になった場合、初めての入試は現行のセンター試験だが、浪人の年度には新制度で受験することになる。そのため初年度で培った知識が全く役に立たないばかりか、周囲は新制度を見据えて何年も準備してきた現役受験生ばかりになるので、非常に苦しい戦いになるだろう。
そうならないためにも、今からしっかりと大学受験を見据えた勉強を心がけるべきである。英検やTOEICも決して邪魔になるものではないので、万が一を見越して積極的に受検すると良いだろう。
受験は受験生の年だけ頑張ればよいというものではなく、一年ごとの積み重ねの集大成を受験生として発揮するだけのことである。特に保護者の方々にはその意識を強く持っていただきたい。
OECDのデータでは、日本をはじめ先進国全てにおいて、高卒者よりも大学卒業者の方が最終的に得られる所得は高い傾向にあることがデータとして示されている。中学校のタイミングで勉強が嫌いになってしまい、現状あまり勉強に身が入っていない子どもを見ていると諦めの念が出てくることもあるだろう。しかし、教師が変われば生徒は変わるものである。中学で勉強が遅れていても、高校3年間でその遅れは必ず取り戻せる。高1で基礎学力を定着させ、高2で授業内容に追いつき、高3には中堅大学を狙える位置に立つことは十分可能だ。映画「ビリギャル」は偏差値30台の女子高生が慶応大学に現役合格する実話をもとに作られている。実例があるのだ。慶応大学とまではいかなくとも、名の知れた企業に就職実績のある中堅大学には十分受かることはできるだろう。
それもすべては子ども自身の熱意である。そしてその熱意を生み出すのは、他でもない保護者の力である。そして保護者の子どもが成長してほしいという願いを実践できる教師と巡り合えれば必ず成果は付いてくる。
受験の準備は早ければ早いほど良い。スタートラインに立つためにも、現在中学3年生の子どもを持つ保護者の方々は、まず高校に入学させ、家庭教師でも塾でも良いので、子どものスタイルを変えられる熱意を持った教師との巡り合いに力を入れよう。
どんな学年でも、すでに「受験」は始まっているのだ。