塾や家庭教師の在り方から、その国の受験事情が見えてきます。日本人にとって身近な、アメリカ・韓国との違いを見ていきたいと思います。東京など都心部では特に、塾や家庭教師利用の低年齢化が進んでいると言われています。習い事をしている場合も多く、忙しく毎日を過ごす子どもの姿に対して可哀想だと批判的な声が聞かれることもあります。しかし他の国と比較してみると、実は恵まれた環境にあることも分かってくるのです。
アメリカの受験事情
アメリカというと日本よりものんびりとした教育環境かと思われがちですが、日本における東京と地方との違いのように、地域によっても環境は変わってきます。またアメリカでも失業率が高まっていることや、移民が多く人口が増えていることなどから、一流企業に就職するためやはり高い学歴を得ようと過酷な受験戦争を勝ち抜く必要がある状況と言えます。ただし、日本のように塾や家庭教師が盛んに利用されていのるかといえばそうではありません。アメリカの大学入試では、高校の内申書、SAT・ACTなど全国統一テストの成績、履歴書、推薦状、エッセイ等が求められます。履歴書を書くにはボランティアや課外活動等を積極的に行う必要がありますし、家庭教師と学習するだけでは合格には辿りつけないのです。テストの成績のみでカバーすることが難しいため、高校3年生から本気を出して有名大学合格といった体験談も普通に耳にする日本とはかなり違った環境だということが分かります。
韓国の受験事情
受験シーズンが訪れると日本のニュース番組でも取り上げられるほど、韓国の受験戦争は激しいものです。日本も長い間学歴社会だと言われてきているかと思いますが、比にならないほど、韓国は超学歴社会といえます。学歴=仕事や年収に直結するので、大学入試によってその後の人生が決定してしまうと考えられているほどです。そのため塾や家庭教師の会社も多く存在しているのですが、決して一般家庭の家計に優しくはありません。2017年のデータでは月平均所得は287万ウォン(約26万4千円)ということですが、韓国で家庭教師を利用すると月に100万ウォンから150万ウォンもの費用がかかると言われています。実績のある有名教師になるとさらに費用が上がることも。日本でも家庭教師は高額なイメージがあるかもしれませんが、実際はそれほど敷居の高い存在ではないはずです。
日本の家庭教師制度は恵まれている
AO入試の積極的な採用、2020年の入試改革など、日本もアメリカのようにこれまでの実績や思考力・表現力が求められる入試へと変わりつつあります。とは言え、やはり日本においては家庭教師との学習が有効に働く環境は変わらないはずです。そもそも日本では塾や家庭教師の制度が発達していることから、各会社で新しい制度に向けて柔軟な対応がなされています。また、日本でも少子化によって子ども1人あたりにかける教育費が高くなってきているとは言われていますが、ニーズの高まりに応じてあらゆる学習コースが提供されています。そのためリーズナブルな価格設定の家庭教師会社も増えており、韓国のように、家庭教師を利用することが必ずしも家計の負担になるというわけではない環境だといえるでしょう。