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    東京の家庭教師一覧

  • 併塾と追加家庭教師という教育法

    少子化の煽りを受けて、子どもを対象としたサービスが縮小するかと思いきや、子ども一人当たりにかけられる金額が増えたこともあり、子ども向けビジネスで盛り上がっている業界は多くある。特に教育業界では子ども一人一人の単価が上がっている。塾や家庭教師のサービス内容が充実し、大学生のアルバイト塾講師・家庭教師ではなく、プロ講師・プロ家庭教師が一般化しつつあるのだ。そして、さらに変わってきているのが「併塾」や「追加家庭教師」をとる家庭が増えているらしい実態があるのだ。

    大学全入時代と言われて久しいが、就職まで見据えると、どの大学に入るかで入れる企業も変わってくる可能性が大いにある。学歴フィルターという言葉を聞いたことがあるだとうか。多くの希望者が殺到する一流企業は選考を行う課程で、学歴のみで初期の選考を行っているというものである。学習塾業界の大手では利用されているらしく、特に中学受験を行う塾では、中学受験経験のない学生は一次試験すら受けることができないと言われている。学歴フィルターではないが、研究室・ゼミ経由での就職は現在も普通に行われている。特定の教授が育てた学生であれば、企業側も信頼を持って入社させることができる安心感がある。さらに研究室でしっかりと学んでいるので、入社から戦力として活用でき、最終的にユーザーにとってもメリットがある。

    何のために受験をするのかと問われると、最終的には良い就職先に入るためと答える方が多いのではではないだろうか。実際に日本では春の一括採用によって新卒採用が行われるので、ここでどこに入社するかが今後の人生を大きく左右することとなる。その新卒採用で良い就職先に入るために良い学校へ入ろうと考える。良い学校へ入るために、塾や家庭教師で学力を伸ばす方が多いが、最近では「併塾」や「追加家庭教師」という方法をとる保護者が増えているように感じる。

    併塾は人によってはあまり聞き慣れない言葉だが、塾関係者ではかなり前から一般化している。名前の通り、特定の塾だけでなく、他の塾も併せて活用する方法だ。

    塾にはいくつか大きく分けて「集団授業型」と「個別指導型」の2つの形態がある。集団授業型の塾は上位校を目指す塾に多くみられる。集団授業では学校と同じく、同じ内容を一斉に授業で受ける。解りやすい授業展開をするプロ講師と、上位校進学を意識した内容の濃い授業が特徴だ。しかし、授業について行けなくても授業は進行するため、置いて行かれてしまう生徒が出るという欠点もある。

    個別指導塾は上位校進学を目的とするプロ講師を擁する進学に特化した個別指導塾と、幅広い生徒層をカバーして個別に進度を決めて学習させる形態にさらに細分化される。集団授業と異なり、個々の習熟度合いに合わせて授業が進められるため、学校の授業についていけていない生徒でも、過去の学習内容に戻り手厚くケアしてもらうことができるメリットがある。しかし成績が中位~下位の補修的な内容を行う塾の場合には多くはアルバイト講師のため、講師の力量により授業の解りやすさにバラつきが出てしまう欠点がある。進学を意識した個別指導塾でもアルバイト講師を雇っている場合もある。

    現在ではこれらの塾をそれぞれ併用して活用する併塾が増えているのである。進学を強く考えている生徒の場合、集団塾でプロ講師の授業を学び、ついていけていない分野に関してはプロ講師のいる個別指導塾で追いつくのである。また、個別指導塾の中には無制限で自習室を利用できるところもある。集団塾の中には自習室を完備できていないケースもあるので、個別指導塾を学習室代わりに使っているケースもある。

    追加家庭教師は、この個別指導塾のポジションを家庭教師に担わせるものだ。プロ講師のいる個別指導塾が近くに無い場合や、学力が低い子どもの学力を向上させたい保護者に利用されているケースが多いようだ。中には、近隣の個別指導塾には同じ学校の児童・生徒が多く通っており、そういった関わりを回避したいと考えている保護者にも活用されている。家庭教師最大の利点として、子どもの移動時間を削減し学習に回せることや、夜間外出を避けることができるので、セキュリティ面でも有意義である。さらに、受験に対して二人三脚で歩んでもらえるので保護者の受験期の相談役としても家庭教師は選ばれやすい傾向にあるようだ。(もちろん塾でも相談に乗ってもらえることはあるだとうが、多人数を一挙に引き受けている塾では、必然的に家庭教師よりも保護者と話せる時間が短くなってしまう。)

    併塾・追加家庭教師には賛否両論がある。否定的な意見としては、ある塾で教えたやり方が、別の塾や家庭教師では違う方法で教えていたり、進学に関するアドバイスが異なっていたりすることが、教育に対してデメリットになると考える方もいる。しかし、私としては複数の教え方を知ることは有意義であると考える。あるやり方はでは理解できなかったが、アプローチの異なる方法でなら理解できる場合もある。結果として「分かる」のであれば、複数のやり方を知る事の方が有意義なのは明白だ。進学に関するアドバイスに関しては子どもと保護者がしっかりと考えを持っていれば大丈夫だ。進学するのは子ども自身である。特定の塾や家庭教師の意見はもちろん聞き入れた方が良いが、それだけに振り回されず、自分がどこに行きたいのかを家庭でしっかり話し合えば、進学するためにどれだけ学力が必要なのか、もしも志望校を変更せざるを得ないのであれば、どこが最善かは家庭で最終決定をしっかりすれば良いのだ。

    子ども一人に対する教育費が高まっている中で、併塾・追加家庭教師という流れはこれから増える可能性が高い。塾や家庭教師を保護者の視点でちゃんと選び、有効活用して子どもの学力をしっかり伸ばしてあげよう。