各種報道で「ひきこもり」の高齢化が伝えられている。「ひきこもり」と聞くと学生を思い浮かべることが多いかもしれないが、現実には40代のひきこもりも多くなっており、親の高齢化に伴い大きな問題となっている。
ひきこもりは、長引けば長引くほどに社会復帰することが難しくなる。ひきこもっている間に社会の流れに取り残され、対人関係のスキルも磨かれなくなるため当然の帰結であろう。
現在は多くのひきこもり支援団体があり、ひきこもりの状態にある本人やその家族に対して支援事業を行っている。しかしながら、その多くは若者向けの事業が多く、年齢を重ねたひきこもり者への支援は手薄になりがちであり、そういった観点からも、ひきこもり状態が長引いた際に社会復帰が困難となる一因となっている可能性がある。
ひきこもりの実態調査を行っている「NPO法人全国ひきこもりKHJ親の会」による実態調査によると、ひきこもり者の多くは東京近郊の千葉や埼玉、神奈川に多くいることが分かっている。反対に少なかったのは大阪や兵庫であり、もしかしたら東京のような、外部からの流入が多く近所づきあいが希薄な都市部と、大阪や兵庫のように「おせっかい」が多かったり、人との関わりあいが密接であったりすることが、ひきこもり人口の多寡に関係している可能性があるのかもしれない。
ひきこもり人口の76%は男性であるというデータも出ている。女性は男性よりもコミュニケーション能力が高いといわれているが、もしかしたらそういった対人能力もひきこもってしまうか否かに関わってきているのかもしれない。
ひきこもりが始まる年齢は20代以前が最も多くなっており、そこからずるずると長期間ひきこもってしまう人が多いようである。初期段階で家庭や学校、相談機関などをうまく利用できず、社会に復帰する機会を逃してしまった人も多い可能性がある。特に思春期の頃に相談相手を持てないと、精神的に苦しくなり対人関係を持つことを放棄してしまうことが考えられる。
ひきこもり者の半数以上は不登校の経験を持っている。不登校中には他者と関わることが減ってしまうため、何か悩みがあっても相談をしづらい環境にある。特に家族は不登校をどうにか改善しようと努力するため、子どもからすると相談をしにくい相手となる可能性が高い。反対に子どもの反発を恐れて親が子どものとの関わりあいに消極的になった場合も子どもから相談をしにくい環境となるため、この場合も相談相手に適さなくなってしまう。
上記のような場合には家庭教師の力を借りると良いだろう。単純に不登校中の学力維持のために家庭教師を雇うという選択肢もあるが、子どもの対人関係者を増やすという点からも、家庭教師がいることは意味をなす。
不登校児につける家庭教師にも相性があるため、一概に「この家庭教師に任せよう」とおススメすることはできない。子どもによっては熟練のプロ家庭教師に心を開く場合もあるが、中には子どもの年齢に近しい、学生家庭教師がマッチするケースも見受けられる。不登校に陥ってしまった場合には、勉強を教えて学力を上げるよりも、相談相手にもなってくれる家庭教師が望ましいのである。
親には相談できないことも、家庭教師には相談できる場合がある。経歴や学歴で判断するよりも、いちど家庭教師と面談をしてみて、話がしやすそうか、子どもの性格にマッチしていそうかという観点から決めるのも良いだろう。親が子どもを「こういう性格だから、同じような先生が良いはずだ」と決めつけてしまうことがあるが、家庭教師が子どもとマッチしていないようであれば、思い切って全然違うタイプの講師に変えてみるのも良いかもしれない。
郊外に住んでいると家庭教師を探すのにも一苦労となるケースがあるが、東京近郊のように家庭教師本部が多くある場合は本部を変えることもできる。また、本部内にも在籍する家庭教師数自体も多いため、気軽に講師の変更を申し出ることができるだろう。
不登校のままでも大成する人物はいるが、対人関係を全く築かずに大成することは非常に難しい。そのため、不登校のままでも対人関係を構築できるように、家庭教師などのサポートを使い、本格的にひきこもってしまう前に、家族以外との繋がりを少しでも残しておけるようにした方が良いだろう。
ひきこもりは期間が長引くほど社会復帰が難しくなる。ひきこもりの兆しが見えたら、早期に対策を講じなければならない。現代社会では支援事業も多く存在しているため、周りの目を気にせずにどんどん支援をしてもらおう。子どもの人生は一度きり。親の見栄のために貴重な機会をつぶすことなく、自立できるように対策を取ってあげることが重要である。