受験もひと段落つき、多くの受験生は進学の準備を進めていることだろう。中学・高校への進学において「部活動選び」というものは重要になってくる。なかにはスポーツ推薦などによって既に入る部活動が決まっている子どももいるだろう。部活は子どもの成長過程において重要な役割を果たすことが多い。特にスポーツ系の部活は日本で昔から甲子園や花園など、目指すべき目標が定まっているものが多くある。しかし、この部活動という取り組みにおいて少しずつ変化が起きてきている。
日本では諸外国に比べて学校における部活動が盛んである。高校野球や高校サッカー、春高バレーのように、学校対抗で全国大会が中継されており、部活動がひとつのエンターテインメントとなっている側面も見受けられる。そのように高いレベルで競い合う部活動であるが、基本的には指導員は学校の教員である。全国レベルに行くような力のある学校ではコーチを雇うなどするケースもあるかもしれない。また、OBが指導員として入るケースも散見される。しかし多くの学校では普通の教員が指導を行っている。
最近では少子化とそれに伴う教員の減少が問題となっている。教員が減少しても部活の数は維持されていることもあり、未経験分野の部活動の顧問をしなければならない教員が増えている。この未経験分野への指導は非常に負担となり問題となっている。子どもたちへしっかりと指導しなければと考え、授業研究の時間を削ってでも部活の指導方法を学ばなければならないケースも出ているようだ。また、ニュースなどでも報道されている通り、部活動のブラック化も大きな問題となっている。子どもに部活動を頑張ってもらいたいと願う親が、土日も祝日も部活を行うことを強要し、結果として教員が全く休めない状況を作っているケースがあるのである。特にスポーツ系の部活では対外試合を行うとしたら基本的には土日祝日となるため、顧問は休むことができず、全く休みの無い状態で仕事を続けなくてはならない現状がある。
東京都杉並区では2016年度より、外部指導員を雇うための予算を組んでいる。学校内の教員が当該部活の指導経験が無い場合に限り、外部から費用を出して指導員を入れることができるのである。プロコーチは教員免許が必要などの要件があり、活動時には教員が顧問としてつくことが決められているが、子どもたちはしっかりとした指導を受けることができ、教員は指導のために注ぐ時間を大きく軽減できることから、生徒・教員双方にとって大きな利益がある取り組みである。
学校の教員の質も一律ではないため、授業の内容が分からなければプロの家庭教師を雇って学習することもある。その延長としてプロ指導員を学校内へ入れるこの取り組みは意義があると考えられる。
部活動の最中や試合の際には必ず顧問の教員が引率しなければならないため、教員への負担が全く無くなったというわけではないが、それでも未経験のものを教えることへの負担感は大きく軽減されたと考えられる。東京ではまだ完全に広がっているわけではないが、より良い公教育を実践するためにも、部活動の改革は今後も必要である。